舌下免疫療法
舌下免疫療法とは
舌下免疫療法は、スギ花粉やダニなど、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を少しずつ体内に取り込んでいくことで、アレルギー反応を和らげる「減感作療法」の一種です。
2014年からは、舌の下に錠剤を置いて服用する方法が保険適用となり、注射を使わずに治療ができるようになりました。
この治療法は、体をアレルゲンに慣れさせることで、アレルギー症状の改善や体質の根本的な改善が期待されています。
舌下免疫療法の治療効果について
治療を開始してからおよそ半年ほどで、徐々に効果が現れてくるケースが多く、効果を持続させるためには2〜5年(できれば4年以上)の継続が望ましいとされています。
現在の統計では、2割程度の方が症状から完全に解放され、約5〜6割の方が症状の軽減を実感しています。ただし、約15〜20%の方には明確な効果が見られない場合もあるため、全ての方に確実な効果があるとは限りません。
対象となる方
通常は、6歳以上の方が対象となりますが、アレルギー検査の結果が確認でき、舌の下で1分ほど錠剤を保持できるお子様であれば、より低年齢からの治療開始も検討可能です(例:3〜4歳)。治療のタイミングについては、無理に急ぐ必要はありませんので、まずはご相談ください。
治療のステップ
現在、舌下免疫療法は「スギ花粉」と「ダニ」のアレルギーに対して行うことができます。開始前には血液検査で、対象アレルゲンに対するアレルギー反応があるかを確認します。
治療の流れ
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初回:院内で1錠服用していただき、安全確認のために30分ほど経過観察を行います。
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導入期:週に1回の通院を数週間行い、徐々に服用量を増やしていきます。
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維持期:必要量に達した後は、月1回の通院で薬を処方し、ご自宅で毎日服用を継続します(2〜5年が目安)。
※スギ花粉症の新規開始は、スギ花粉が飛散する時期(2月〜5月)には行えません。継続治療は可能です。
初診時のお願い
初回導入時には、院内での滞在時間が約1時間かかるため、受付終了の30分前までにご来院ください。
順番予約の時間によって遅れる可能性がある場合でも、時間内にご来院いただければ、調整させていただきます。
副作用について
主な副作用としては、口の中の腫れやかゆみ、のど・耳のかゆみなどが挙げられます。
まれに重度のアレルギー反応(アナフィラキシー)を起こすこともありますが、発生頻度は極めて低く、2万人に1人ほどとされています。
当院では緊急時に備えて、埼玉医科大学総合医療センターと連携体制を整えておりますので、安心して治療を受けていただけます。
また、当院の医師は、舌下免疫療法に関する学会主催の講習会を受講済みで、適正使用テストにも合格しており、安全に配慮した診療を行っております。
治療を受けられない方
以下の項目に該当する方は、舌下免疫療法を受けることができません:
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β遮断薬(βブロッカー)を服用中の方
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重度の喘息または肺疾患がある方
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ステロイドの内服治療中の方
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抗がん剤による治療中の方
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妊娠中の方(ただし治療中に妊娠が判明した場合は、継続可)
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重症の口腔アレルギー症候群の方
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感染症にかかっている方
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自己免疫疾患の既往がある方、または家族歴が強い方
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定期的な通院が難しい方
該当するかどうか不安な場合は、必ず事前に医師にご相談ください。適切な治療法をご提案させていただきます。
