Bスポット療法・EAT(イート)治療
塩化亜鉛溶液を用いた上咽頭擦過治療
皆様、こんにちは。当クリニックのホームページにお越しいただき、ありがとうございます。今回は、耳鼻咽喉科で取り扱う治療法の中から、特に注目を浴びている「Bスポット療法」「EAT療法」について、分かりやすく説明したいと思います。
Bスポット療法(EAT療法)について
Bスポット療法は、鼻の奥にある「上咽頭」と呼ばれる部位にアプローチする治療法で、慢性的な鼻づまりや副鼻腔炎などの改善が期待されています。
上咽頭には「Bスポット」と呼ばれる領域があり、ここは粘膜や血管が集中していて、炎症が生じやすい場所です。
当院では、0.5〜1%の塩化亜鉛溶液を含ませた綿棒を使って、主にのど側からこの上咽頭に直接薬液を塗布しています。
上咽頭の役割と特徴
上咽頭は鼻腔の後方に位置し、吸い込んだ空気が気管に向かって流れていく中継地点です。
この部位の表面は「繊毛上皮」という構造に覆われており、その中にはリンパ球が多く存在します。つまり、上咽頭は呼吸器の一部であると同時に、免疫機能を担う重要な器官でもあるのです。
風邪などによりこの部位で免疫反応が活性化されると、炎症を引き起こす物質(サイトカイン)が血流に乗って全身に影響を及ぼすことがあり、結果として離れた臓器にも炎症反応が出る可能性があると考えられています。
Bスポット療法が適応される主な症状
かつて「風邪は万病のもと」と言われたように、風邪をきっかけに多様な疾患が起こることはよく知られています。その背後に慢性上咽頭炎が関係している可能性があると注目されています。
上咽頭炎に起因する症状(一例)
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のどの違和感、後鼻漏、咳、痰
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首や肩のこり、頭痛、耳鳴り
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歯の過敏感、顎関節の不快感
自律神経の乱れに関連する症状
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疲れやすい、めまい、不眠・過眠
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起立性調節障害、集中力低下
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過敏性腸症候群や胃の不調、むずむず脚症候群 など
免疫による二次的疾患
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IgA腎症、ネフローゼ症候群、関節炎
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掌蹠膿疱症、乾癬、アトピー性皮膚炎など
※これらの症状はすべてに当てはまるものではなく、体質や病態により異なります。適切な診断と治療は専門医との相談が必要です。
治療後の注意点とアフターケア
処置後は、上咽頭の粘膜が刺激に対して敏感になっています。
以下の点にご注意ください:
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強く鼻をかむことや連続したくしゃみは避けましょう
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数日間は鼻うがいを継続すると、状態の安定が期待されます
最後に
Bスポット療法(EAT療法)は、鼻や耳の慢性的な不調にとどまらず、全身のさまざまな症状にアプローチできる可能性のある治療法です。
体に大きな負担をかける処置ではなく、比較的短期間で効果が得られることもあり、耳鼻咽喉科領域で注目されています。
ただし、すべての方に効果があるわけではないため、治療方針については医師とじっくり相談し、体調や症状に応じた選択を行うことが大切です。
当院では、患者様一人ひとりに寄り添った診療を心がけています。Bスポット療法にご興味のある方は、どうぞお気軽にご相談ください。あなたの健康を支えるパートナーとして、丁寧にサポートさせていただきます。
さらに詳しくお知りになりたい方は、認定NPO法人「日本病巣疾患研究会(JFIR)」の公式サイトもぜひご覧ください。
